2024年、教育、建築設計、まちづくり、医療福祉に大きな影響を与える健康のコンセプト、「ポジティヴヘルス」を学び合う研修を日本・オランダで実施します。
2015年3月、ポジティヴヘルスジャパンの前身となる動きとして、医療法人オレンジからオランダへ渡航し、以降5回以上に渡りあらゆる現場を訪ねてきました。今やティール組織の代名詞として世界で最も有名となった訪問看護チーム「ビュートゾルフ」、いくつもの高齢者ケア現場や、就労支援の飲食店、理学療法士が開業した拠点や子どもホスピスと牧場、地域の医療センター、かかりつけ助産師の活動場所、そして家庭医の自宅兼クリニックでの豊かな語らいまで。もちろん、安楽死についてもあらゆる現場で見聞きする機会を増やしてきました。
これまでに何度もオランダで対話を重ねるうち、症状や状態、年齢にかかわらず、人の健康的な暮らしを作っていくコンセプトがあることがわかってきました。それが、2011年にDr.ヒューバー氏が提言した健康のコンセプト、「ポジティヴヘルス」です。
ポジティヴヘルスとは、一言で言えば「健康に対する自己理解の促進」。本人が自分の健康の実感について自己理解をし、本人が持つレジリエンス(回復力)・自己主導を促進するコンセプトです。「専門職に求められるのは、問題に焦点を当てた評価や指導ではなく、対象者の全体に焦点を当てた、自己理解を促す対話の実践である」、Dr.ヒューバー氏は言います。
今やこのコンセプトは対個人の医療福祉はもちろんのこと、教育、建築設計、まちづくりにまで広く伝わり、オランダの民間企業はもちろん、公共政策にも大きな影響を与えるものになってきました。
ポジティヴヘルスジャパンは、2019年に初回のポジティヴヘルス研修(参加者:15名)を日本で初めて実施し、以降はコロナ禍にあっても参加者それぞれが日本全国で現場実践を繰り返してきました。
2024年、第二回のポジティヴヘルス研修を開催し、よりアップデートされたオランダの事例を元に、日本の今、そして少し先の未来についての検証、そして対話を通して実践知を高めていく兆しを作りたいと思います。
▶︎第二回ポジティヴヘルス研修募集概要
●本研修は、ポジティヴヘルス提唱元、Institute for Positive Health (iPH) より現地講師を招いた、オランダで実際に行われている研修内容となります。
●教育、建築設計、まちづくり、医療福祉など越境した学び合いの場にするため、一部選考を行なう場合があります。予めご承知おきください
●全3回全ての回に参加できる方が対象となります
●定員は12名前後を予定しています
---本プログラムは一般財団法人 松本記念財団より一部助成いただいております---
第1回 4/6(土)10:00~16:00@長野県軽井沢町(主にグループワーク・レクチャー。通訳あり)
第2回 4/14(日)10:00~16:00@福井県福井市(主にグループワーク・レクチャー。通訳あり)
第3回 5/21(火)〜5/24(金)8時~16時前後@オランダ国内Amersfoort/Utrecht/Afferden 他(主にグループワーク・レクチャー・現場視察。通訳あり。主にバス移動)
▶研修参加費:
・6日間にて約30万円/1人(特にオランダでの現地視察の日数は変動する場合があります。また全体の研修参加費は状況により下方修正の可能性があります)
・研修参加費の他に、航空券・宿泊先(事務局より推奨ホテルを提示します)別途ご自身での手配いただきます。
2019年第一回目ポジティヴヘルス研修の流れ
Day 1(2019.4.13 福井・医療法人オレンジにて)
(座学)ポジティヴヘルスとは
(対話形式)ポジティヴヘルスで大切な対話とは
実践:
①「自ら決めた目標を実践する」
②「対象者に対してポジティヴヘルスを土台にした語りかけを行い、対象者の実践を観察する。」
(14日間のインターバル)
Day 2(2019.4.27 福井・医療法人オレンジにて)
(対話形式)実践の振り返り
互いのフィードバックから学ぶ
実践:
①「自ら決めた目標を実践する」
②「対象者に対してポジティヴヘルスを土台にした語りかけを行い、対象者の実践を観察する。」
③ポジティヴヘルスを職場に導入するには、何から始めることが良いかを検討する(もしくは働きかけ始める)
(33日間のインターバル)
Day 3 to 6 (2019.5.31- 6.3 オランダ・アメルスフォールトIPH本部を起点に )
(対話形式)実践の振り返り
今後、現場でどのように展開していくか。
ポジティヴヘルスをベースに地域づくりをする医師の実践談、
高齢者コミュニティサロン「リンビグルームプロジェクト」、
「ポジティヴヘルスセンター」視察、ポジティヴヘルスを実践する
家庭医、助産師、理学療法士との対談
▶参加申し込み:https://forms.gle/zeEZvZCn9KpSooLt6
▶参考
『オランダ発ポジティヴヘルス地域包括ケアの未来を拓く』シャボットあかね (日本評論社 2018)
『暮らしに広がるポジティヴヘルス オランダ発・レジリエントな健康のかたち』シャボットあかね (日本評論社 2023)
Institute for Positive Health (iPH) 公式動画リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLP3zcqfYDbpF0bZIYLnFPp26NS7vAfuQT
▶︎事務局
一般社団法人ポジティヴヘルスジャパン 紅谷・藤岡・出町
https://japanpositivehealth.wixsite.com/website
紅谷浩之
一般社団法人ポジティヴヘルスジャパン理事長/医療法人オレンジグループ代表
病気や障害も持っていても力強く健康的に地域で暮らす人々との出会いを通じて「健康とは病気がない状態」という既存の考え方に疑問を持ち、病気のあるなし・命の期限にかかわらず、関わる人の幸せを考えられるような医療チームを立ち上げたいと「BeHappy!」をコンセプトにして、2011年オレンジホームケアクリニックを開設。
病気よりも生活や暮らしに注目しながら活動する中で出会ったポジティヴヘルスの考え方は、高齢化や多様化がすすむ日本の地域社会のまんなかにあるべきコンセプトだと確信。ポジティヴヘルスを日本に紹介し、実践・発信することをライフワークとしている。
https://note.com/orange_be_happy/n/nc8e4e88a558d 健康は“状態”でなく“能力”なのだ。ポジティヴヘルス。
藤岡聡子
一般社団法人ポジティヴヘルスジャパン理事/医療法人オレンジ/診療所と大きな台所があるところ ほっちのロッヂ 共同代表
24才で創業メンバーとして有料老人ホームを設立、アーティスト、大学生や子どもたちとともに町に開いた居場所づくりを実践。2015年デンマークに留学し、幼児教育・高齢者住宅の視察、民主主義形成について国会議員らと意見交換を重ね帰国。2018年、オレンジ紅谷を通してポジティヴヘルスのコンセプトに出会う。2019年より長野県軽井沢町にて「診療所と大きな台所があるところ ほっちのロッヂ」を創業しポジティヴヘルス実践に踏み出す。共著『ケアとまちづくり、ときどきアート(2020中外医学社)』では2019年第一回ポジティヴヘルス研修について取り上げ業界内外より反響を得た。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/SHPR2024011900003901 「自分なりの「健康の基準」を手に入れる」信濃毎日新聞創刊150周年健康長寿特集
出町 勇人(でまち はやと)
一般社団法人ポジティヴヘルスジャパン理事/社労士事務所ポジティヴ・ワークス代表
社会保険労務士・社会福祉士・精神保健福祉士
1995年から行政職員として札幌市役所に勤務。生活保護、共済組合、国民健康保険の健康政策部門など、主に健康・福祉の業務に携わる。2019年に「オランダにおける要支援者世帯に対する健康管理支援」の調査テーマが札幌市海外事例調査事業に採用され、その際にポジティヴヘルスに出合う。現地で、ポジティヴヘルスの概念や普及の状況、自治体・介護事業者の取り組みなどを視察したりする中で、オランダでは要支援者だけではなくすべての人のウェルビーイングに適用できる概念として普及していることを知る。2022年に札幌市役所を退職し、「社労士事務所ポジティヴ・ワークス」を開業。ポジティヴヘルスのコンセプトを取り入れた企業の労務環境や健康管理のコンサルティングを行っている。
https://positive-w.com/policy/ 社労士事務所ポジティヴ・ワークス「方針」